その②:大正ロマン溢れる旅
夢二の誕生日が9/16。
その前後、年に二週間、一日2回の決まった時間だけ公開される、『黒船屋』を見ることが出来ました。(作品は全て撮影禁止なので、これは参加者用絵葉書です)
何も調べずに行ったので、本当は予約をしなければいけなかったのですが、午後から空いてるのでどうぞ!と言われ、本当にラッキーでした。
この『黒船屋』は、表具屋が展覧会のために依頼した絵で、その時夢二は精神的に参っていて、渋々描いたといういきさつがあります。
そしてこの絵は、表具屋から旧蔵者に託され、さらに、竹久夢二記念館の館長に渡ったそうです。
今はこの記念館の本館の特別室にあり、勝手には入れず、館内の案内の方と一緒にしか入れません。
昔の蔵のドアで閉ざされ、その中に入ると襖があり、まずその前の椅子に座ります。
そして音楽が流れ、案内の方が襖を開け、床の間に飾られてる絵を見るという、変わった鑑賞の仕方です(笑)
この絵に合わせて計算されて作られた和室の床の間に飾られていて、表具屋の依頼のため、額縁ではなく掛け軸です。
その掛け軸は濃い紺色で、周りにこの紺色があるかないかで印象が違います。
この絵は金で縁取りされた絹地に水彩画で描かれているのですが、水彩画とは思えないほど濃い色合いの絵です。
鑑賞していたご婦人の一人が、目がぼやけてよく見えないと訴えたため、全員座敷に上がりさらに前で見る事が出来ました。
このご婦人のお陰で、さらにラッキーでした(笑)
近くで見ると、さらに色合いがよく見え、この絵はほぼ等身大だそうです。
叶わぬ恋の女性を想像しながら描いたと言われていて、黒猫は夢二自身らしいです。
そして、この黒猫は毛先が描かれているわけではなく、黒く塗りつぶされているのに、立体感のあるふわふわした猫に見えるのは凄いです。
着物は黄色、帯は緑、女性が座っているおひつは赤…
この赤は情熱の赤で、椅子ではなくおひつにしたのは、叶わぬ恋心をこの中に閉じ込めたんじゃないか?と言われているそうです。
これまで変な売買もされず、その間戦争もあったのに、そのまま綺麗な状態で100年以上も保存されてる事自体、奇跡に近いと思います。
竹久夢二の展覧会は他にも色々開催されてるのですが、この『黒船屋』は、この記念館からは決して出される事はないと説明されてました。
その後は、パンフレットと、ここの館長のはエッセイ集を二冊セットで買いました(笑)
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